歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す際の規則~古典文法~ | カンヴァス~徒然国語日記~

2015年8月9日日曜日

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す際の規則~古典文法~

 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す際の規則をまとめてみました。

 入試なんかだと必須科目ですね。

 しかし、感覚でなんとなくできてしまうため、詳しい規則については案外知らない方もいるかもしれません。
 簡単なので、ぜひ確認してみましょう!




歴史的仮名遣い→現代仮名遣いに直す際の規則



1 「ゐ・ゑ・を」について

  1. 「ゐ」→「い」
  2. 「ゑ」→「え」
  3. 「を」→「お」
 本来、ワ行音だった「ゐ・ゑ・を」。しかし、これらは現在の日本語の音には存在しません。
 したがって、現在仮名遣いでは「い・え・お」を当てる必要があります。


2 語中・語尾のハ行音

  1. 語中・語尾の「は」→「わ」
  2. 語中・語尾の「ひ」→「い」
  3. 語中・語尾の「ふ」→「う」
  4. 語中・語尾の「へ」→「え」
  5. 語中・語尾の「ほ」→「お」
 語中・語尾のハ行音は、ハ行転呼によって、現代ではほとんど消滅しました。
 今の日本語で、語中・語尾にハ行音が使われる語彙は、「母」などのごく一部を除いて、ほとんど存在しません。
 したがって、語中・語尾のハ行音「は・ひ・ふ・へ・ほ」はワ行音「わ・い・う・え・お」に直す必要があります。


3 [ a ・ i ・ e ] +う

  1. [ a ] +う → [ o ] +う
  2. [ i ] +う → [ yu ] +う
  3. [ e ]+う→ [ yo ] +う
 これはローマ字で考えた方が理解しやすいかもしれません。
 わかりづらいと思った方は、一度、現代仮名遣いに直したい単語をローマ字表記にしてみて、[ au ]、[ iu ]、[ eu ] の並びを探してください。


4 四つ仮名

  1. 「ぢ」→「じ」
  2. 「づ」→「ず」
四つ仮名とよばれる「ぢ・づ・じ・ず」。これも、四つ仮名の混同により、現代における発音の区別はほぼなくなりました。
 したがって、基本的にはダ行音「ぢ・づ」はザ行音「じ・ず」に直します(現代でも使用する「ぢ・づ」は別)。

5 「む」

  1. 「む」→「ん」
 「む」音は撥音便によって「ん」音へと変化しました。


6 「くわ」と「ぐわ」

  1. 「くわ」→「か」
  2. 「ぐわ」→「か」
 昔の日本語では「くわ」と「ぐわ」という発音がありました。しかし、これも消滅し、「か」「が」と混同されてしまったため、現代仮名遣いでは「くわ・ぐわ」を「か・が」とします。




注意が必要な場合

 この6つのルール、基本的な考え方は簡単です。
 しかし、混合して使う際には注意が必要。

 例えば「てふ」という古語。これは、「蝶」のことですよね。
 この変化、どう考えればよいかというと、

「てふ」
[ tehu ]
(語中・語尾の「はひふへほ」は「わいうえお」になるから、[ hu ] → [ u ]
[ teu ]
(” [ e ] +う → [ yo ] +う ”なので……)
[ tyou ]
「蝶」の完成!!

となります。
 このように、順番に考えていくことが必要となります。