活用の種類ってどう見分けるの?~古典文法~ | カンヴァス~徒然国語日記~

2015年8月5日水曜日

活用の種類ってどう見分けるの?~古典文法~

 高校時代に習った古典文法。
 恐らく、いちばん面倒なのが「活用」を覚えることだったのでは?

 動詞、形容詞、形容動詞、助動詞……活用する品詞はたくさんあります。
 その中でも、活用を考える時、中心になるのが「動詞」

 というわけで、本日は「動詞」の活用形について解説します。


古典文法における動詞の活用の種類は以下の九つです

  • 四段活用
  • 上一段活用
  • 上二段活用
  • 下一段活用
  • 下二段活用
  • カ行変格活用
  • サ行変格活用
  • ナ行変格活用
  • ラ行変格活用
 それぞれの動詞がどの活用の種類に当てはまるのかを、この中から選ばなくてはならないわけです。
 しかし、九つもあると「えっと……じゃあ『見る』は何活用だっけ??」とこんがらがってしまいそうですよね。


 そんなややこしい活用の種類を見分ける方法は、三段階に分けられます!

一 暗記!
二 「ひいきにみゐる」!
三 「ず」をつける!

 というわけで、まずは「1 暗記」から見ていきましょう。


一 暗記

 これはズバリ、「数が少ないものは、暗記しちゃえ」という考え方。
 上記の九つの活用の種類のうち、五つが当てはまります。
  • 下一段活用→「蹴る」
  • カ行変格活用→「来」
  • サ行変格活用→「す」「おはす」
  • ナ行変格活用→「死ぬ」「往ぬ」「去ぬ」
  • ラ行変格活用→「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」
 これは頑張って暗記しちゃいましょう。
 リズムよく唱えると覚えやすいですよ~!
 「ありをりはべりいまそかり!」ってね。


二 「ひいきにみゐ」る

 これは、上一段活用の覚え方です。
 まずは、下の例を見た方が分かりやすいですかね。
  • 「ひ」→「干る」「はなひ(=くしゃみのことです。嚏で「くさめ」とも読みます)」
  • 「い」→「射る」「
  • 「き」→「着る
  • 「に」→「似る」「煮る
  • 「み」→「見る」「~みる(顧みる、試みる、鑑みるおもんみる)」
  • 「ゐ」→「」「ひきゐ」「~ゐる(率ゐる、ゐる)」

 以上の、「ひいきにみゐ」がつく語+「る」で表される語が、上一段活用動詞です。
 ちなみに、ここでの「い」はヤ行、「ゐ」はワ行なので注意!


三 「ず」をつける!

上の二つにあてはまらなかった動詞には、打消しの助動詞「ず(ない)をつけることで識別を行います。

  • 四段活用「a」行音になる
    • 例:「行く」(→行か+ず:[ ik- zu ])、「思ふ」(→思は+ず:[ omoha - zu ])など多数
  • 上二段活用「i」行音になる
    • 例:「落つ」(→落ち+ず:[ oti - zu ])、「起く」(→起き+ず:[ oki - zu ])など多数
  • 下二段活用「e」行音になる
    • 例:「捨つ」(→捨て+ず[ sute - zu ])、「見ゆ」(→見え+ず[ mie - zu ])

 以上のように、「ず」または「ない」をつけたとき、動詞の語尾がどのような音に変わるかで識別することができます。





 いかがでしょうか?
 スタンダードな方法ではありますが、やはり上記の三段階を経て考えるのが一番分かりやすいかな、と思います。

 多少暗記する必要はありますが、この三段階さえ踏めば、だいたいの動詞の活用の種類は識別できます。

 古典文法を学習することは、現代文法の理解にも役立ちます。
 古典嫌いの方も、ちょっとだけ復習してみると、新しい発見があるかもしれませんよ。