イ音便とかウ音便とか……色々あります。
音便の考え方自体はそれほど難しくありませんが、ちょっと分かりづらいものがあります。
そう、
「あれ? 『ン』になるのが促音便だっけ? 『ッ』がつくのが促音便? あれ……どっちがどっち?」
こんな感じで、私はしょっちゅうこの二つの音便がこんがらがってしまいました。
しかし、そんな促音便と撥音便も、字義さえきちんとおさえれば、簡単に覚えることができます!
というわけで、今回は促音便と撥音便の覚え方をご紹介いたします!
まず、促音便と撥音便の意味を辞書で確認しましょう。
- 促音便
- 音便の一つ。主に動詞の連用形語尾の「ち」「り」「ひ」が促音に代わるもの。「立ちて」が「立って」、「歌ひて」が「歌って」、「散りて」が「散って」となるなどの類。
- 撥音便
- 音便の一つ。五段活用の連用形の語尾「に」「み」「び」が「て」「た」「たり」などに連なるとき、発音上の便宜から撥音「ん」に転じる現象。「死にて」→「死んで」、「読みて」→「読んで」、「飛びて」→「飛んで」の類。
(『明鏡国語辞典 第二版』 大修館書店、2011)
要するに、
- 動詞などの語尾が促音「ッ」に代わる→促音便
- 動詞などの語尾が撥音「ン」に代わる→撥音便
ということです。
ただ、この「促音」と「撥音」、どっちが「ン」でどっちが「ッ」だったか分からなくなってしまいがちです。
特に「撥」という漢字に親しみがないせいもあるでしょう。
しかし、字義からしっかり理解してしまえば、この区別は簡単です!
まずは促音便。
「促」という字には「間がつまる。縮む」という意味があります。これは、実際に「促」が使われる場面を考えれば理解しやすいでしょう。
催促、促進、促成……「早く早く!」と急き立てるときに使う字です。
そもそも、「促」は「人(にんべん)」と「足」から成る漢字。
「足」は速いに通じ、人を促してはやくさせる、という意味を持ちます。
そこから、「間がつまる、縮む」の意味が生じました。
したがって、促音は「一拍分だけ息を止めたように聞こえる音」を指すことが分かるかと思います。
促音はつまる音ともよばれます。
問題は、撥音便。
「撥」って、「はねる」って意味ですよね。しかし、「ン」はどうもはねているような音じゃない。
「ン」は鼻音ですから、むしろ鼻にかかった、まったりした印象の音です。
この撥音便という名称のせいで、音便の種類がこんがらがることが多いはず。
実は、ここで「はねる」のは、音声ではなく「ン」という文字なんです!
そもそも、「
カタカナの「ン」という文字を見てください。ほら、二画目がはねてるでしょ?
だから「ン」に変化する音便を撥音便と呼ぶわけです。
はねる音っていうのは、文字がはねてるからはねる音なんですね~。
さて、いかがでしたか?
こんな感じで、しっかり字義をおさえると、理解がスムーズになることがありますよ!