最近の絵本って、怖い。
絵本だとなめてかかったら、かなり驚かされました。
直木賞作家、京極夏彦さんが文を担当しています、絵本『いるのいないの』。
大人気「怪談えほんシリーズ」の第3弾です。
大人気「怪談えほんシリーズ」の第3弾です。
さすがは京極先生。淡々と語られる文章が、かなり雰囲気出しております。
そして何より、町田尚子さんの絵がかなり怖い。
大人が読んでも怖い本、として宣伝されていましたが(実際怖いですが)、これこそ子どもに読み聞かせしたいですね(笑)
以下よりあらすじ(ネタバレ有)です。
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【あらすじ】
主人公の男の子は、祖母の家で暮らすこととなった。
古くて広い家。天井には何本もの梁が渡っている。
古くて広い家。天井には何本もの梁が渡っている。
ある日、真っ暗な天井を見上げていた男の子は、そこに怒ったような顔の男が「いる」ことに気付いてしまった。
祖母にそのことを訴えるも、害はないから放っておけと言われる。
見なければいないのといっしょ、とのこと。
しかし、やっぱり天井を見上げると、そこには男が「いる」のだった……。
【感想】
最後の最後まで引っ張って引っ張って……
最後のページ、「いるからね」の一文と絵で「うわっ!」となります。
このお話、結局最後まで男が何なのか、この家に何が棲んでいるのか、分からずじまいです。
なんかよくわからないモノが、上からずっとこっちを見ているだけの話。
おばあちゃんは「見なければいないのと一緒」と言いますが、それが一番怖い。
上なんか見なければ、そこに在るものに気付かなかった。
気付かなければ、いないのと一緒です。
CLAMP原作のマンガ「×××HoLic」シリーズで度々出てくるテーマと似ていますね。
ヒトが知らなければ、それはないのと一緒。
でも一度知ってしまったら、知らなかった頃には戻れない……。
それはさておき。
怖い話好きとしては、この絵本にあるテーマは興味深いところです。
何も知らないおばあちゃんは、「何もしなければ、気付かないふりをしていれば大丈夫」だということを知っています。
でも、知ってしまった男の子は、もう「気付かないふり」はできません。
ただ、怖いからといって、何か変化を加えると、男が「害のない」ままでいるとも限りません。
下に降りてきてしまうかも……。
やっぱり、そのまま放置するしかないのでしょう。
まさに、触らぬ神に祟りなしといったところでしょうか。
更に言うなら、ただ「気付いていない」だけで、私たちのまわりにも「いる」かもしれない、と捉えることもできるわけです。
「見ない」=「いない」と同じ。男の子はただ「見て」しまっただけ。
私たちと男の子の差は、気付いたか否か。
もしかすると、ひょんな拍子に、天井から、物陰から、隙間から……何かが「いる」のを見てしまうかもしれません。
ほら、何となく上を見上げるのが怖くなってきたでしょう?(笑)
絵が怖すぎて、出オチみたいになっていますが、ストーリーもかなり考えさせられる内容でした。